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序 ー「伝統文様」の新しい世界=デザインの正統
当研究所は、あらゆるシーンデザインを可能にするノーハウを持っています。
クライアントの要請によって、考え得るデザインの方向をすばやく提案し、解決へと導きます。
和風デザインのみならず、西洋風、アメリカ風、エスニック風、流行、コンテンポラリーなどなど、クライアントの要望は多岐に亘ります。
クライアントの要望、個性を第一に考え、スピーディーにデザイン作業を進めるには、確固たる制作態度が要求されます。
当研究所が「ノーハウを持っている」と言えるのは、以下に述べる信念に基づいているからです。

■慣れ親しまれた「伝統」を「個性」に変える
「伝統文様」は完成された美しさを持っています。だからといって、それを素材としてそのまま使うことは早計です。クライアントの個性を無視していることになるからです。
良いデザインとは、単に美しいデザインというだけではなく、クライアントの「個性」を纏っていなければ良いデザインとは言えません。
たとえば或るホテルが、宿泊価格、食事、清潔さ、顧客サービス、スタッフの接客態度などで人気があったとしても、その人気を不動のモノにするのは、お客様から「あのホテル」と名指しされるイメージによって決まります。
そのイメージとは、そのホテルの醸す「美意識」です。そしてその美意識は、視覚物によってはじめてお客様に記憶されます。

■クライアントの要望に素早く対応する
デザイナーは「クリエイター」と呼ばれることを欲します。
クライアントを驚かせたいと、新しいデザインを生み出す苦しみに時間をかけることになります。かくしてデザイナーの個人的好みのデザインが出来上がります。
しかし、デザイナーの個性はクライアントの個性ではありません。
デザインを発想する段階の立ち位置を明確にし、クライアントの個性の様相を分析することがデザイン決定の早道なのです。
クライアントの要望にお応えする良いデザインは、要望の対象、例えば商品や媒体にふさわしいデザインだけではありません。クライアントのアイデンティティーが加味されてはじめて完成度の高いデザインといえます。
発想の源を、個人的キャパシティーに委ねるのではなく、伝統の深奥に求めます。
「伝統文様」は、あらゆるデザインソースを網羅しています。
デザインのクリエイティブとは、その「伝統」がベースになっていること。すなわち、新鮮なデザインとは、デザイナーの独りよがりではない、「伝統文様」の持つ美の粋を生かした「新しい世界」であるべきです。

■「らしさ」を的確に視覚化する
我々は、その国の「らしさ」をイメージするとき、「アメリカらしさ」なら先ず頭に浮かべるのはスターズ&ストライプです。オランダらしさはチューリップや風車のある風景、フランスらしさはトリコロール、エッフェル塔、イタリアはトリコローレとゴンドラ、中国なら唐格子でしょうか。
その国をイメージできる形がその国の「定型」と言って良いでしょう。
日本らしさの「定型」は、青海波、紗綾形、松皮菱、七宝、立涌、麻の葉、井桁、よろけ、段、扇・・・のように、日本「らしさ」を表す「定型」を、我が国ほど多く持っている国は世界広といえども存在しません。
「定型」とは、長い歴史の中で人々に共有され、認知された「伝統」そのものです。

■「伝統文様」の再認識が「新しい世界」を拓く
「伝統」は「普遍性」を意味します。 その意味で「伝統文様」は「グラフィックのプロトタイプ」であると言えます。
プロトタイプであればこそ、デザインを必要とする分野の全てにおいて、「新しい世界」を描くことを可能にします。
デザイナーの感性だけでデザインするのではなく、「伝統」の力を背景にすることがこれからのデザインと言えましょう。 デザイン関係者には、「伝統」に対する深い造詣が求められます。
日本のみならず、世界各国「伝統」に対してもしかりです。
たとえば「イギリス調のデザイン」「フランス調のデザイン」を求められたとき、その国の「伝統」を無視してデザインすることは、その国のデザイナーの手になる作品の模倣に頼らねばなりません。
その国の「伝統」を分析することは、民族の文様の成立から拡散の歴史を知ることにつながります。「その国らしさ」のポピュラーなモチーフを求めると、日本で言えば、富士山、折り鶴、扇子のように、幅の狭い発想からのデザインになってしまいます。結果、本国人から底の浅いデザインだと思われてしまいかねません。
豊かな発想を起点にするためには、「伝統」を再認識しなければならない理由がここにあります。 もっとも理解しているはずの「日本」のデザインを制作するときでも、ほんとうに「日本の伝統」を理解しているかどうか、自らに問いかけてみる必要があります。

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